【プロが解説】離乳食用・冷凍りんごの作り方

離乳食

離乳食初期から食べることができる食材・りんごは、甘みがあり赤ちゃんが喜ぶ食材です。

青菜などと混ぜて食べやすい味に調整する「調味役」としても使えます。

単品としても、調味役としても使えることから、少しずつ冷凍ストックしておけば便利なりんご。

本ページでは離乳食用のりんごを冷凍する方法や、冷凍による栄養・色みなどの影響について解説します。

1. りんごはいつから離乳食に取り入れる?

りんごは離乳食の初期から赤ちゃんに与えることができます。
甘みが強いため喜んで食べる子も多いですが、その分甘いものばかり欲しがりほかの食材を嫌がらないよう注意しましょう。

最初は少量を与えてアレルギーの有無を確認したからは、青菜など食べづらい食材に混ぜて与えるとよいでしょう。
さまざまな食材について食欲が旺盛な赤ちゃんには、デザートとしてほかの食材と混ぜずに用意してもよいかもしれません。

2. りんごの冷凍保存方法

りんごを冷凍する場合、冷凍前に必ず加熱調理しましょう。

加熱しないりんごは、りんごに含まれる酸化酵素のポリフェノールによって、冷凍保存中に変色してしまいます。
加熱調理して酵素の活動を止めておけば、きれいな色のまま冷凍保存することができます。

加熱調理して保存する際には、以下の方法が便利です。

【ポイント】冷凍保存をする場合は少量の水を加え、煮汁を作っておきましょう。
※半分を月齢に合った硬さに、半分をすりおろして煮汁にすると水で薄まることなく煮汁が作れます

初期
※加熱は飲み込める硬さに
①すりおろす → レンジ or 鍋で加熱 → 冷凍保存容器に1食分ずつ小分けに → 冷凍
②レンジ or 鍋で加熱 → ブレンダーでなめらかに → 冷凍保存容器に1食分ずつ小分けに → 冷凍
中期
※加熱は舌で潰せる硬さに
①粗みじん切りにする → レンジ or 鍋で加熱 → 冷凍保存容器に1食分ずつ小分けに → 冷凍
後期
※加熱は歯茎で潰せる硬さに
①やや大きめのみじん切りにする → レンジ or 鍋で加熱 → 冷凍保存容器に1食分ずつ小分けに → 冷凍

離乳食後期からは生のりんごも食べられるようになりますが、生のりんごは変色してしまうため、冷凍には向いていません。

生のりんごを与えた後に残りを加熱し冷凍するなどして、赤ちゃんのデザートや料理の材料とするなどうまく使い切りましょう。

3. 生と加熱で比較するりんごの栄養

離乳食後期からはりんごは加熱せず赤ちゃんに与えることができます。

冷凍する場合は、変色を防ぐために必ず冷凍する必要があることから、冷凍することを避ける方もいるかもしれません。

しかし、りんごの栄養素は「生」と「加熱」の両方に良さがあります。
可能であれば両方与えたほうがよいでしょう。

① 生のりんごの栄養

生のりんごにはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、英国のことわざに「「1日1個のリンゴは医者を遠ざける(An apple a day keeps the doctor away)」という言葉もあるほどです。

主な栄養素は以下のとおりです。
・カリウム
・食物繊維
・ビタミンC
・リンゴ酸
・ポリフェノール

ほかにも、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分、カルシウム、マグネシウム、、βカロテンなどが含まれています。

豊富に含まれている食物繊維とカリウムは、整腸効果や余分な塩分の排出効果があります。
ほかにも、抗酸化作用(ポリフェノール)、疲労回復(リンゴ酸)に効果がある栄養素が含まれるなど、優れた栄養素をもっているといえるでしょう。

② 加熱したりんごの栄養

りんごは加熱すると、いくつかの栄養素が減少します。

減少する主な栄養素は、ビタミンCとポリフェノールです。
これらを摂りたい場合は、生のまま食べたほがよいでしょう。

一方で、りんごを加熱すると良いこともあります。
食物繊維である「ペクチン」の抗酸化力が、9倍になるという研究結果が報告されているのです(121℃で30分加熱した場合)。

りんごは生で食べても、加熱して食べても優れた栄養を持つといえるでしょう。

③ 冷凍しても栄養は減らない

生のりんごや加熱したりんごを冷凍しても栄養は減少しません。

冷凍をすると、その時点での食品の状態がほぼそのままで保存されるため、生で保存する場合と比較して、栄養を高く保つことができます。

りんごをたくさん購入した場合は、生で食べるもの以外は、早めに冷凍するとよいでしょう。

4. 離乳食用りんごを冷凍する場合のポイント

離乳食用のりんごを冷凍するときには、必ず煮汁と一緒に冷凍するようにしましょう。

食品は冷凍保存中に乾燥・酸化しやすいため、そのまま冷凍するとパサパサしたり、味が変わったりしやすくなります。

煮汁と共に冷凍すれば、水分が食品の周囲を覆って水分の蒸発を防いでくれるため、乾燥しません。
また、酸化は乾燥によって起こるため、味の変化も抑えられます。

5. おいしい冷凍りんごで離乳食をスムーズに

甘いりんごは多くの赤ちゃんが大好きな食材です。
食の細い子でも、りんごはよく食べるといことは多いのではないでしょうか。

りんごは毎日の食事の「楽しみ」として取り入れやすい食材です。
その「楽しみ」を冷凍してストックしておけば、食事中にぐずったとき、食が進まないときにさっと加えられて便利です。

離乳食をスムーズに進めるために、冷凍りんごをうまく活用しましょう。