トマトは離乳食初期から食べられる野菜で、ビタミン類が豊富な野菜です。
青臭さや酸味を嫌がる赤ちゃんもいますので、最初はていねいに加熱調理をすることで、赤ちゃんの苦手意識をなくし、食事に取り入れたい食品でもあります。
下ごしらえをまとめて行ったら、1食分ずつ冷凍保存をして少しずつ毎日の食事に加えていきましょう。
とはいえ、離乳食初期に使うトマトの調理はとても大変。
本記事では、トマトを離乳食の初期用に下ごしらえをする方法、便利な市販品を活用する方法、それらを冷凍ストックする方法などを紹介します。
1. 離乳食用トマトの冷凍保存方法
水分が多いトマトは、とても冷凍保存しやすい食品です。
離乳食用に加熱調理したトマトは、冷凍保存容器に入れて冷凍庫に入れて冷凍しましょう。
加熱後はすぐに、冷凍保存容器に移し、保冷剤を入れた保冷バックか、何も入れていないチルド室などで粗熱をとって、すぐに冷凍庫に入れましょう。
常温での粗熱取りは、衛生上好ましくないため、できる限り食品の温度をすぐに下げ、早めに冷凍庫に入れるようにしてください。
【※離乳食の冷凍保存の基本はこちらをご参照ください】
冷凍したトマトは、さまざまな調理法に使えるため、少量ずつキューブ型に冷凍できる製氷器型が便利です。
製氷器型の1ブロックいっぱいに入れてしまうと、量が多い場合もありますので、使いやすい量を流し込んで冷凍しておきましょう。
2. 冷凍前の離乳食調理方法
① 皮と種を取り除く
離乳食用のトマトは、皮と種を取り除きます。
赤ちゃんにとって皮や種は硬いため、飲み込みにくく消化器官にも負担がかかるためです。
トマトの皮をむく方法
・湯むき
皮に十字の切れ目を入れて、トマトを熱湯にくぐらせます。熱湯に数秒入れた後に冷水につけるときれいに皮をむくことができます。
・冷凍むき
トマトは一度丸ごと冷凍し、冷凍庫から取り出して水につけると簡単に皮をむくことができます。
トマトの種を取り出す方法
トマトを半分に切り、種を周囲のゲル状の部分ごと取り出しましょう。
②加熱する
赤ちゃんが1歳になる頃までは、トマトは加熱調理をして与えます。
加熱により食品を殺菌することで、食中毒を予防することが大きな目的です。
また、トマトは加熱により酸味が抑えられるため、赤ちゃんに食べやすい味にすることができます。
皮と種を取り出したトマトは、鍋もしくはレンジで加熱しましょう。
実が崩れて柔らかくなるまで加熱をしたら、鍋やレンジから取り出します。
ちなみに、トマトは加熱によりうまみ成分のグアニル酸が増加することで知られています。
コトコト煮込むことにより、天然の野菜だし代わりになるので、長く均一に加熱しやすい鍋での調理がおすすめです。
③ すり潰す or ブレンダーでなめらかにする
②で加熱したトマトは、すり鉢ですり潰すか、ブレンダーでなめらかになるまですり潰します。
これで調理は完了です。
調理したトマトは、そのまま与えてもよいですし、食べきれないものは冷凍保存容器(製氷器型)に入れて1食分ずつ冷凍保存しましょう。
3. 調理の手間を省く市販品
トマトは離乳食として冷凍保存する場合、調理にやや手間がかかるのが難点です。
しかし、トマトはピューレやペーストにしたものが多く市販されているので、それらを購入し小分けにすることで調理の手間を省けます。
市販品ももちろん冷凍することが可能ですので、使う分量ずつ小分けにして活用しましょう。
① 冷凍離乳食用におすすめのトマト製品
・カゴメのトマトピューレ―(&ペースト)シリーズ
日本で初めてトマトジュースを発売したカゴメはトマト製品が豊富です。
濃縮タイプは水分が少ないので、湯や湯冷ましで薄めてから冷凍すると便利です。
(特に水分が少ないタイプは冷凍中に乾燥しやすいので、必ず薄めるようにしましょう)
・キッコーマンのデルモンテ有機トマトピューレ
さまざまな商品がありますが、食塩無添加であればどれを選択しても問題ありません。
お近くのスーパーなどで入手しやすいものをお使いください。
② 市販品は衛生的でおすすめ
離乳食用のトマトを冷凍する際に、市販品を使うことに抵抗がある人もいるかもしれません。
しかし、市販品を冷凍保存することは、衛生の観点から見れば推奨されることです。
家庭での調理では、調理工程で菌や微生物が付着する機会がどうしても多くなってしまいます。
また、トマトの加熱工程でも火の通り方が不均一な場合があります。
その点、市販品については、工場で衛生対策が徹底されています。
特に大手メーカーの食品は、細菌や微生物が付着しやすい人間の手作業の工程を省き、菌数の検査を定期的に行うことで衛生管理がシステマティックに行われています。
抵抗力の弱い赤ちゃんに与えるトマトペーストは、可能であれば大規模工場で製造されたもののほうが安心です。
子どもの食事では「無添加・手作り」が推奨される傾向にありますが、実は衛生の観点から見れば、機械による大規模製造でシステム化された調理工程のほうが安全なのです。
4. 冷凍トマトの離乳食活用法
1~3で冷凍したトマトは、さまざまな離乳食メニューに活用することができます。
ここでは、離乳食メニューへのアイデアをいくつかご紹介します。
大前提として、冷凍したトマトは調理する際に、単品もしくはほかの具材と一緒に「加熱調理」するようにしてください。
①トマトがゆ
おかゆとトマトピューレを混ぜて与えます。
トマトのうまみ成分でおだし代わりになりますが、赤ちゃんが食べにくそうにしている場合はかつお節を混ぜてもよいでしょう。
②トマトスープ
他の野菜のスープにトマトピューレを混ぜます。
野菜スープは、以下の記事の「冷凍万能スープ」を作っておくと便利です。
トマトは「冷凍万能スープ」に最初から入れず、味のバリエーション用として別に冷凍しておくとよいでしょう。
③アクアパッツァ
冷凍トマト、万能野菜スープ、骨抜き白身魚の3つを加熱して作ります。
白身魚とトマトの出汁が出て、うまみたっぷりの味わいに仕上がります。
多めに作って、大人も塩コショウを振って食べても満足感のある一品になります。
5. トマトの栄養素と冷凍
トマトは栄養豊富な食品として知られています。
トマトを食べることにより、ビタミンCやE、カリウム、食物繊維、リコピンやβ-カロテンなど、さまざまな栄養をとることができます。
ビタミンCは水溶性で熱に弱いため、加熱により大部分が失われてしまいますが、抗酸化作用を持つリコピンやβ-カロテンは加熱により2~3倍吸収しやすくなると言われています。
このことから、トマトは生のものも加熱したものも両方とるとよいことが分かります。
(生のトマトは1歳ごろを目安に開始するようにしましょう)
このトマトの栄養素は、冷凍したとしても栄養素が失われることがありません。
冷凍した時点で栄養素の減少がストップするため、冷凍しても問題なく吸収することができます。
5. 冷凍トマトの活用で離乳食をおいしく栄養豊富に
調理した、もしくは市販品のトマト製品は、小分けして冷凍しておくことで離乳食づくりに非常に便利に使うことができます。
トマトは、離乳食の栄養を増加させるだけでなく、離乳食の味のバリエーションを増やす効果があります。
トマトがもつ「うまみ」を活用して、赤ちゃんの離乳食をおいしく、バラエティ豊かなものにしましょう。
また、トマトは加工品が安価にたくさん販売されている素材でもあります。
育児と離乳食づくりの両立が大変なときは、加工品を賢く利用して便利に使うようにしましょう。